2001年1月7日

 たくさんの人が中学か高校の屋上から中庭へいっせいに飛び降りて、自殺をする。それを扇動したのは僕の友達だと言う夢を見て目を覚ました。おかげで目覚めが良いとはいえない朝を迎えた。

 午前は人骨堂のある教会に向かった。教会の部分はヨーロッパにあるそれと同じで割と普通で典型的。120エスクード払ってそれより奥の部分に入ると、そこには人の骨を使って建てた礼拝堂があった。中は12畳ほどの広さ、礼拝堂としては小さい部類に入るはずだと思うけど、人骨で組み立てられているので迫力がある。人骨堂の中は、少しだけ外とは違う香りがした気がする。人の骨の香り…?もしかしたら気のせいかもしれないけれど、気になった。そう言えばチェコにも同じような骨の教会があるらしい。絵葉書で一度見たことがあったけど、Faroのものよりもグロテスクでおどろおどろしい。骨で作ったシャンデリアがあった。信仰熱心な人が、死んだ後教会の一部になりたいと思うのはわからなくもない。
 ミュージアムとカテドラルは工事中みたいで中に入ることはできなかった。Faroはそんなに見所の多い所ではないから、一日二日の滞在で十分観光できる。この町はせかせか回る所ではなく、ビーチに出向くか、じっくりと腰を据えて景色や風を楽しむ場所だ。そういうのが苦手な人には、ただ退屈な町でしかない。この町で観光所巡りは二の次だと思う。

 旅の予定はいつも突然変わる。もう一泊するはずだったホテルをキャンセルして、今はTavira行きのバスに乗っている。本当はFaroから日帰りで向かうつもりだったのだが、列車がストライキで動かない。仕方なくバスを選んでそこへ向かうことにした。列車で行くなら30分ほどの距離だけど、バスだと1時間程かかるらしい。バスの便数や時間も良く分からないし、Taviraに行ったっきり、今日中に宿に戻って来れなくなってしまうかもしれない不安があった。
 駅でストライキ(今日は月曜で水曜日まで続くらしい)のことを知って、バスターミナルへ。タイムテーブルによると出発は10分後だったので、慌ててホテルへ戻り、理由を話してチェックアウト。バスのチケットを買って本当に飛び乗るようにしてバスに乗り込んだ。それが、ついさっきの話。交通機関のストライキは僕みたいな旅行者にとっては本当に迷惑な話だ。あてにしていた移動手段が一つなくなるのだから。
 しかし、FaroからTavilaまでのバスチケットは435エスクード。本当にこんなに安くていいのだろうか?

 バスに揺られること1時間と少しでTaviraの町に着いた。途中バスの中から見えた景色は、どこか日本の田舎を思い出させた。道路沿いに広がる畑、少し向こうに見える低い山。鹿児島の離島とか、沖縄の方って確かこんな感じじゃなかったっけ。
 この旅二つ目の町、Taviraはジラオン川が町を貫く人口1万人にも満たない小さな町。心持ちFaroよりも涼しい気がするのは、このジラオン川のせいかな?
 ガイドブックに載っているホテル、ResidencialCasteloは、バスターミナルから歩いて5分とかからない。大通り沿い(といっても道幅は10m程しかない位だけど)なのですぐわかった。Faroで泊まったResidencialMadarenaと同様、入り口から二階に続く階段があり、登りきった所がレセプションになっている。こちらもシングルは一晩3000エスクードで、手頃な値段といえる。
 お金を払う前に部屋を見せてもらった。シングルはもうなかったのだろうか、今回も部屋はツインで、しかもかなり綺麗で清潔。今日はバス付きだし、部屋にテレビもある。電話もあるから、インターネットに接続も可能かもしれない。
「これで本当に3000なの?」
宿のおじさんに英語でそう聞くと、
「今は、部屋がこれしかあいてなくてね。不服かい?」
とニヤっと笑って答えが返ってきた。不服など勿論あるはずもなく、今日と明日ここに宿泊すること決めた。

 荷物を部屋において、早速町をぶらつきに出た。とりあえず向かう先はサンタ・マリア・ド・カステロ教会とカステロ(城)。ガイドブックにはこの二つくらいしか見所が書いていない。あとは適当に自分で歩いて探すことにしよう。そして、Faroで買うことのできなかったスケッチブックも買わなければ。
城と教会は隣り合っていて、ホテルからも城壁がすぐそばに見えるほど近い場所にある。徒歩5分といったところか。教会と城は丘の上に建っており、その麓にある土産物屋—働いているお姉さんがかなり可愛いーで絵葉書を3枚購入した。30エスクードだったので、一枚当たり約5円と言うことになる、安すぎる値段に驚いた。ついでにどこでスケッチブックが買えるのかを教えてもらったのだけれど、彼女は英語があまりできず、ポルトガル語を交えての会話で言ってる事を理解するのに結構苦労したが、彼女の説明が分かったときは本当に嬉しかった。おかげで少し打ち解けたような気がするし、明日また行ってみようかな…。ついでに彼女からは夜によく遊びに行くと言うクラブの場所も教えてもらった。することもないし、行ってみても悪くない。

 とまあ、それはおいておいて、僕はスケッチブックを先に買いに行き、その後城へ向かうことにした。少し道に迷ったけれど、割とスムーズに買い物は済んでその足で僕は丘の上に登る事にした。
ここの教会もFaroと同じく工事中で、中には入れないかと思ったけれど、工事中なのは外だけだったみたいで、中には問題なく入ることができた。中に入ったとたん、ポルトガル語で話す一人の老人が僕に近づいてくるー教会の人間だろうか?ー。僕がポルトガル語を話せないことを知っているのか知らないのか、それともそれを気にしないだけなのかは分からないが、何やらいろいろポルトガル語で説明してくれながら、僕と一緒に内部をまわってくれた。勿論、そういうサーヴィスを受けたからには寄付を要求され、僕はその要求に応えて教会を出た。結局僕が彼の言葉を理解できたのは、お金を渡したときの「obrigado(ありがとう)」だけだった。せっかくいろいろ説明してくれたのに言葉がわからないのは、少し残念な気持ちにさせる。
 教会の横にあった城は、城ではなく庭園になっていた。城らしさを残しているのは。城壁の部分のみでそれもあまり大きくはない。ただ、手すりのない城壁についる階段を登るのはスリリングで楽しかった。雨が降ったら怖くて絶対上れないだろう。城壁に登る階段で足を滑らしたら、骨折は免れないだろう。

2620(うち240はチップ)エスクードも出した食事はこっちに来てから初めで、レストランらしいレストランに入ったのも久しぶりだ。おかげでかなりお腹いっぱいで、こうしている今も目を閉じれば眠ってしまいそう。注文したのはミックスサラダ、今日の魚、白ワインをスモールボトル(370ml)。まあこれで丁度良いだろうなんて思っていたけれど、僕はここが外国であることをすっかり忘れていた。僕の目の前にやって来た料理の量が半端ではない。皿いっぱいに盛られたサラダ、300g以上はありそうな白身魚のソテー、そしてその皿の上には、ポテトと、サラダがのっかている…。同じ皿にサラダがついてるなら最初に教えてくれていても良いじゃないか…と思ったけれど、来てしまったものはしょうがない。そう思ってとりあえずは食べてみたものの、限界は予想通り早くやって来た。ワインのボトルを空けて、サラダと魚を食べた時点で僕のお腹はかなりいっぱいいっぱい。もうどうすることもできなかった。悔しさとサラダを残して、僕は店を後にした。今度レストランに行って何か注文するときは、皿の大きさか料理の量を聞いてからにしよう…。

今日使ったお金
650 McCampo menu
120 人骨堂に入るための代金
435 Tavirへのバスチケット
100 水
6000 宿泊代(2日分)
30 絵葉書代(安い!)
500 スケッチブックと2Bの鉛筆
100 教会への寄付(もうちょっと払っても良かったかも)
437 お菓子
2620 ディナー

合計 10992
日本円で6000円程かなぁ?ディナーが高くついた。明日はVila Real de Santo Antonioに朝から行ってみようかな。きっと気持ち良いだろう。